20150920 霊性の神学
2015-09-20


「こうして、神ご自身の満ち満ちたさまにまで、あなたがたが満たされますように。」エペソ人への手紙3章19節b

リージェントカレッジを志望した動機の一つに「神との友情」の著者であり、初代学長であるジェームス・フーストン教授から直接、霊性の神学を学びたいという思いがありました。教授は1922年生まれですが、90歳を超えた現在も現役で通常の授業を担当しておられます。「霊性の神学」は聞きなれない言葉と思いますが、人間の霊的な側面を聖書やキリスト教の歴史から深く学んでいく分野と言えます。特に過去二千年のキリスト教の祈りや霊的な生活の実践は、私たちが霊的に成長するための素晴らしい教材となります。宗教改革以前のクリスチャンの祈りや書物は、カトリック教会に属するものとしてプロテスタントでは積極的に取り上げることが少ないと思いますが、霊性の神学の学びでは教父時代から修道院での祈り、時にはギリシア正教の神学者まで幅広く学ぶことになります。3年目の夏に履修した「5つの祈りの伝統」という霊性の神学の授業では、紀元3世紀の砂漠に住んだ教父たち(Desert Fathers)の祈りから、16世紀のイグナチウスのロヨラ、宗教改革者ルター、そして20世紀のクリスチャン作家であるC.S.ルイスと、二千年の伝統から祈りの具体的な手法を学びました。例えば、福音書を読みながら、イエス・キリストを間近に感じ、瞑想する黙想の祈り(Contemplative Prayer)を学びましたが、興味深いことに、伝道集会のメッセージの最後の「目を閉じてください、今からいくつか質問させて頂きます」という招きの祈りの雰囲気に良く似ていたりします。最終学年でフーストン教授の「クリスチャンアイデンティティーの源泉(The Source of Christian Identity)」という授業を聴講することができました。祈り深い生活を経験することによって築かれていく神さまとの親しい関係(友情)が、クリスチャンとしての生き方や、人生の召命も含めた「自分は何者であるか」という問いの答えを導いていきます。これらの学びを日本の教会に合う形で紹介していくのは大変な作業になりますが、霊性の神学の文脈化の働きとして、今後の牧会の現場で取り組ませて頂きたいと思います。(笠川路人伝道師)

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